Proliferation Security Initiative (PSI)
2003年5月31日、G8サミット直前のスピーチにおいて、ブッシュ大統領は、米国とその同盟国が疑わしい貨物を運搬する航空機及び船舶を捜索し、違法兵器又はミサイル技術を押収することを可能にする国際協定及びパートナーシップの創設に帰着する拡散安全保障イニシアチブの樹立を宣言した。
拡散安全保障イニシアチブは、世界的拡散問題へのよりダイナミック、活動的なアプローチの必要性を反映している。これは、WMDとミサイル関連装備及び技術の船積の脅威を阻止するため、法的、外交、経済、軍事その他の幅広い手段を展開するためにその国家能力を利用する協力国のパートナーシップを想定している。
オーストラリア外務相Alexander Downerは、議会において、「輸送機及び船舶の捜索と関連国内法及び国際法の強化を含む新しい、創造的な措置」に合意したことを確認した。「・・・我々は、大量破壊兵器の材料への今後のアクセスを北朝鮮に否定し、市場へのアクセスも否定するのに重要な国々との実践的協調を模索している」と、彼は語った。
このイニシアチブを始動させるために、合衆国は、疑わしいWMD移転を中止及び停止させるその能力を拡大するために、数カ国の密接な同盟国との協力を始めた。時がたてば、合衆国は、世界のほとんどの破壊兵器をその海岸から引き離し、敵の手に届かなくするために、可能な限り広範囲にこのパートナーシップを拡張するだろう。合衆国は、大量破壊兵器の拡散を防止するだけではなく、既に保有しているか又はそれに近いならず者国家及びテロリスト・グループから当該兵器を除去するか又は後退させることを最終的に狙っている。
2003年6月4日、下院に対する証言中、武器監督・国際安全保障担当国務次官John R. Boltonは、合衆国が過去2ヶ月間、北朝鮮の核兵器プログラム用と思われるアルミニウム・チューブを押収し、仏独の連合努力が北朝鮮の化学兵器プログラム
用と思われるシアン化ナトリウムを阻止したことが、最近の阻止の成功事例だと公表した。
続く行政府からの声明は、それらが押収及び臨検に関する数少ない公表であることを示した。これらの作戦の存在を暴露しないことは、議論を最小化し、柔軟性を最大化して、米国とその同盟国を公衆の圧力から解放する。
2003年6月、日本は、北朝鮮から運行する貨客船について、その政策を変えた。約2,000人の検査官が、北朝鮮船舶万景峰-92に対する関税及び出入国違反、伝染病、及び安全規則違反の検査のために新潟港に赴いた。北朝鮮は、両国間の全旅客便を停止することで直ちに反応し、スパイ行為に関与していると信じられる未詳の船舶による来航をキャンセルした。日本の政策は、北朝鮮の輸出政策に地域関係国を巻き込むための米国の大戦略の一部のように見える。
日本の国土交通大臣扇千景は、日本の港湾にある全北朝鮮船舶を検査するつもりだと声明した。6月11日、298tの貨物船Namsan 3は、舞鶴で拘留され、カニを運んでいた178tのDaehungrason-2も、北海道の小樽港で拘留された。
この政策シフトは、合衆国がF-117、B-52、B-1B及びF-15Eを含む数十機の戦闘機及び爆撃機を韓国及びグアムから撤収し、行政府が航空打撃を追求しないことを選んだことを示唆したときに現れている。
2003年6月15日、11ヶ国が、合意に達した都市にちなんでマドリード・イニシアチブと呼ばれる拡散安全保障イニシアチブ案に合意した。マドリード・イニシアチブは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン及びオーストラリアにより支持された。イニシアチブは、化学、生物学若しくは核兵器、又はミサイル構成要素含むものと疑われる貨物を迎撃するための戦略を提案した。合衆国は、日本、韓国、及びオーストラリア による阻止増強に加えて、地域での監視増強を公表している。
2003年6月17日、カンボジア、プノンペンでのASEAN会議において、国務長官Colin Powellは、北朝鮮の麻薬その他の違法物質
の取引が抑制されなければならないことを議論するマドリード・イニシアチブの概念を発起した。ASEAN地域フォーラムは、海事紛争と関連した問題を強調した共同声明を発表し、声明は、北朝鮮又はWMDに特に言及しなかったが、北朝鮮がイニシアチブの標的である
。
政策イニシアチブに反応して、北朝鮮は、封鎖が度を越すか、北朝鮮の主権
を侵害したと感じた場合、暴力行為と米朝間の危機のエスカレーションの恐れがあるとの声明を発表した。
2003年7月9〜10日のオーストラリア、ブリスベーンでの拡散安全保障イニシアチブの参加国は、イニシアチブに対するその強力な政治的支援の念を押し、PSIが世界的合意を有する世界的なイニシアチブであることを強調した。彼らは、大量破壊兵器(WMD)、ミサイル及び関連資材の取引を妨害する直接、実践的な措置に迅速に動くことで合意した。これは、PSI11カ国の2回目の会合だった。第1回会合は、6月12日にマドリードで行われた。参加国は、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、英国及び米国である。
オーストラリアの司会の下、ブリスベーン会合は、マドリード会合の結果に基づき、PSI参加国の集団政策責任を実践的措置に移行する方向に動いた。
ブリスベーン会合は、海上、空中又は陸上においてWMD又はミサイル及び関連資材の船積を集団的又は個別的に阻止するのに必要な行動の定義に焦点を合わせた。参加国は、着手される行動が既存の国内及び国際法の枠組みと一致する
ことを留保しつつ、当該資材の取引を防止する堅固かつ創造的なステップを踏む意思を強調した。
ブリスベーン会合は、阻止様式の考慮、特に情報共有と作戦の舞台において上手く前進した。参加国は、効率的な情報共有が阻止に不可欠であることを強調し、WMD及びミサイル貿易を妨害するための
協同行動の基盤として、参加国間の情報及び分析の交換のための能力を強化及び改善することで合意した。参加国は、阻止努力が時折実行下にあるにも拘らず、WMD及び運搬システムに対するパートナーシップにおいて、実際の航空、地上及び海上阻止作戦
を実行するPSI諸国の能力を更に発展及び増強する必要性があることを認めた。その最後に、彼らは、軍事及び文民資産を適切に利用する一連の阻止訓練演習の概念、並びに当該演習が可能な限り早期に実施されるべきことで、原則的に合意した。
参加国は、WMD、ミサイル及び関連資材の取引の粉砕及び停止において役割を演じる用意がある諸国の広範囲かつ効果的なパートナーシップの構築の重要性に同意した。彼らは、PSIの効果的な実行が世界中の
国々の積極的参加を要求することで合意した。PSIが前進するにつれ、彼らは、この脅威に対して行動する意思と能力を有する全ての国を関与させることを狙っている。これは、主要国、沿岸又は中継国、及びWMD及びミサイルの取引努力
において拡散国として利用されるその他の諸国を関与させることも必須的であろう。
参加国は、大量破壊兵器、その運搬手段、及び関連資材と装備の拡散が、国家、地域及び世界の安全に対する深刻な脅威であることを強調した。参加国は、WMDとミサイルが当該兵器の調達、使用及び拡散に対する国際標準
を拒絶する関係国により、ますます獲得されていることに懸念を表明した。
PSI参加国は、拡散関係国及び非関係国の疑問を考慮した。彼らは、6月1〜3日のG-8エビアン・サミットの関連声明と、特に北朝鮮とイラン
に関して、拡散関係国及び非関係国に宛てた6月25日の大量破壊兵器拡散に関するEU−米国共同声明に言及した。
ブリスベーン会合は、国際共同体のWMD及びミサイルの拡散の主要防止手段である国際法及び輸出監督、多国間条約その他の手段の既存の枠内の強化を協力に支援した。彼らは、既存の非拡散基準を迂回又は妨害し、WMD及びミサイル又は関連資材の取引から利益を得る拡散国によるますます攻撃的かつ洗練された努力が、法遵守諸国による新しい、より強力な執行行動を要求していることを強調した。それ故、PSIは、その国際義務を欺き、既存の体制に合流することを拒否するか又は国際規定に従わない国、並びにWMD獲得を模索する
非国家組織の問題への必要かつ刷新的なアプローチとして歓迎された。
参加国は、PSIが数日及び数週間先行した専門家及び政策決定者中の継続する相互作用を要求する速成のイニシアチブであることを認め、9月初め
の次の高位会合に合意した。
2003年7月23日、USA
Todayの記事は、合衆国が麻薬又は兵器資材を運んでいるものと疑われる北朝鮮船舶を臨検することで、日本、オーストラリア、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、オランダ、ブルガリア、及びスペインと合意に達したことを示唆した。
2003年8月12日付Christian Science Monitorによれば、2003年8月8日、北朝鮮の貨物船Be Gaehungは、米情報部が船がロケット燃料と関連した化学物質を運んでいる疑いがあると台湾政府に通報した後、台湾の高雄港に拘留された。船は、臨検及び検査され、船長は、8月10日日曜日
、化学物質を降ろすように求められた。船は、約158バーレルの5硫化リンを降ろし始め、政府当局により押収された。推測は、化学物質を降ろし、要求に従う決定が6ヶ国会議に先立つ徴候であり、北朝鮮が柔軟路線を追求していると主張している。
2003年8月18日、New York TimesとInternational Herald
Tribuneの記事は、多国籍海軍演習が2003年9月に珊瑚海で行われ、WMD及び関連資材の阻止に焦点を合わせることを示唆した。拡散安全保障イニシアチブ阻止訓練演習は、別の演習、Crocodile
2003に続いて計画されている。訓練演習は、協力及びパートナーシップにおいて、実際の海上、航空及び地上阻止作戦を
実行する参加国の集団能力を向上させることを意図している。演習には、文民法執行及び軍事資産が参加し、イニシアチブの全中核国は、何らかの方法で参加するものと予想される。
最終更新日:2004/03/19